選手権日本一の兄を持つスピードスターのプレミア初ゴールは逆転決勝弾!柏U-18FW茂木勇人チュクソムが明確に狙う「世界への挑戦権」
[6.21 プレミアリーグEAST第10節 柏U-18 2-1 東京Vユース ゼロワットパワーフィールド柏] 悪くないパフォーマンスを披露しても、なかなか結果が付いてこない日々。それでも、日常のトレーニングの中で、1本のスプリントに、1本のシュートに、気持ちを込めてやり続けてきた。ゆえに、みんなの期待に応える逆転ゴールは、決して偶然生まれたものではない。「志田さんが自分のことをずっと使っ

[6.21 プレミアリーグEAST第10節 柏U-18 2-1 東京Vユース ゼロワットパワーフィールド柏]
悪くないパフォーマンスを披露しても、なかなか結果が付いてこない日々。それでも、日常のトレーニングの中で、1本のスプリントに、1本のシュートに、気持ちを込めてやり続けてきた。ゆえに、みんなの期待に応える逆転ゴールは、決して偶然生まれたものではない。
「志田さんが自分のことをずっと使ってくれた中で、なかなか結果が出なくて苦しかった時期もあったんですけど、やり続けた結果が今日のこういうゴールに繋がったのかなと思うので、やっぱり常にやり続けるということは、これからもずっと大事にしていきたいなと思います」。
誰よりも万全の準備を整えられる、柏レイソルU-18(千葉)の36番を背負ったスピードスター。MF茂木勇人チュクソム(2年=柏レイソルU-15出身)にとうとう生まれたプレミアリーグ初ゴールは、チームに勝利を連れてくる特別な1点として、眩く輝いた。
「実は木曜日までは、彼はスタメン予定ではなかったんです」。チームを率いる志田達郎監督は、意外なことを口にする。1か月弱の中断期間を経て、東京ヴェルディユースをホームで迎え撃つプレミアリーグEAST第10節。もともと茂木は先発出場するはずではなかったという。
指揮官の言葉は続く。「木曜日に紅白戦があるので、そこでなんとなくスタメンはわかるんですよ。ただ、それでも練習に対する準備も変わらないし、金曜日と土曜日のトレーニングに対する集中力が凄くて、『これでチッチ(茂木)が出るんだったら、誰も文句ないよね』っていう状況だったので、スタメンで行こうと」。
もちろん本人も、この“スタメン変更”を意気に感じないはずがない。「スタメンじゃなくても、やっぱりやり続けないといけないという想いで練習に取り組んできたら、試合前日のセットプレー練習の時に、スタメン組に変わったんです。ただ、自分的にも準備はできていました」。ベンチやメンバー外の仲間の想いも背負って、背番号36はまっさらなピッチに飛び出していく。
1-1のタイスコアで迎えた55分。左サイドでMF大木颯(2年)のパスからDF佐藤桜久(3年)が縦に抜け出すと、全速力で走り込んできた茂木の元へ、ゴール前を横切りながらバウンドしたクロスが届く。
「クロスに入るところは自分の課題で、今日はそこにトライしたらうまくボールが流れてきたんですけど、自分はそんな上手いタイプじゃないので、本能というか、感覚的なシュートを決めるだけという感じでした」。
ハーフボレー気味に右足で叩いたボールが、きっちり揺らしたゴールネット。この1点は貴重な逆転弾であり、自身にとって念願のプレミア初ゴール。気づけばピッチサイドで待ち構える仲間たちの元へ、自然と走り出していた。
「やっぱり自分だけでサッカーしているわけではなくて、周りの仲間がいるからこそ練習もできますし、みんなで高め合ってここまでやってこれたので、自分だけで喜ぶのではなくて、仲間と喜びを分かち合いたいなという想いでピッチサイドに行きました。 本当に嬉しかったです」。
志田監督が明かしてくれた、茂木の“日常”が興味深い。「彼は一番トレーニングへの準備に長けているんです。まだみんながアップをしていない時でも、タッチラインからタッチラインに向かってガーッと思い切り走って、トレーニングのスタートの段階ではもうでき上がってるという状況を常に準備しているんですよね」。
本人もその“準備”の意味について、こんなふうに説明する。「チームの中で自分は上手い方ではないですし、プレーの入りも良くないので、最初から100パーセントでプレーできるように、練習前もしっかりスプリントを入れたりして、準備することを大事にしています」。
その姿勢をチームメイトが見ていないはずがない。みんなの大きな祝福の輪ができた1点は、そのままこの試合の決勝点に。日ごろからあらゆる準備を怠らなかった“チッチ”が、自らの確かな結果で、チームに大きな、大きな勝点3を、力強くもたらした。
同点ゴールの大木颯と茂木が「ロレンソ」の音頭をとる
茂木にとっては、身近に意識すべき存在がいる。第99回大会の高校選手権で、山梨学院高のジョーカー的な役割を担い、日本一を味わった茂木秀人イファインは実の兄。もちろんその背中を見てきただけに、“弟”もライバル意識を隠さない。
「家の中でも結構サッカーの話をしますし、実は今日も試合を見に来ていて、自分のプレーに対してもなんか言ってくるんですけど(笑)。お兄ちゃんは全国を獲れていて、僕はまだ獲れていないので、そういう結果の部分でも負けたくないですね」。
「お兄ちゃんとはいつも『オマエよりは上手い』という言い合いをしているんですけど、そういう会話も結構よくするので、お互いに高め合えるというか、自分にとっても必要な存在かなと思います」。
少しずつプレミアのスピード感にも慣れ、思うようなプレーができる回数も確実に増えている。でも、もっとできる。もっと走れる。もっと戦える。その先にある個人で掲げた大きな目標も、必ず実現させてやる。
「今後の自分が目指しているものとしては、プレミア優勝もそうですけど、U-17のワールドカップのメンバーに選ばれたいという想いが一番大きいですね。でも、まだ全然その基準まで達していないので、これからのトレーニングにもしっかり取り組んで、ワールドカップに行けたらいいなと思います」。
「そのためには試合に出続けることと、試合に出続けるにはケガをしないことが一番なので、ケガに気を付けながら、自分の武器であるスピードとドリブルをもっと伸ばしていけたら、ワールドカップにも選ばれると思いますし、トップの練習にも呼ばれると思うので、やっぱりいいプレーをし続けることが大事かなと思います」。
地道に、丁寧に、重ねてきた準備が今、花開こうとしているのは間違いない。いよいよ高いポテンシャルを解き放ち始めた、柏U-18の高速ドリブラー。茂木勇人チュクソムはいつだってアグレッシブにピッチを走り、たどり着くべき場所へと連なる道を、一直線に駆け抜けていく。
(取材・文 土屋雅史)
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